2008-06

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ジャックの剣

ジャックは剣を持っていましたが
別に戦うのが好きと言う訳でも無く
只、剣を持つと言うのが
誰もが名を持つのと同じ様に
ジャックを表すものだっただけで

使い道と言えば
まぁ身を守ったり
届かない木の実を取ったりで
そこにプライドをかけたりはしなかったので
何か妙に気性の激しいどこぞの騎士とかに
「お前の剣はただの飾りか?」と聞かれて
「違う、ただの長い刃物だ」と
愚問と言わんばかりに答え

騎士は
「俺の命だ」と
自らを磨くかの様に剣をピカピカにするのに
ジャックは
「切れなくなったら只の荷物だ」と
最低限の手入れをするのでした

スポンサーサイト

Leucocoryne


細かい雨。
むしろどっさり降ってくれたら良かったのに、風に吹かれたら霧散してしまいしまいそうな弱い雨粒。
この程度なら傘をささずに空を見上げる事も容易い。
こんなにも威力の無い雨なのに、髪からは雫がぽたぽたと滴っていた。
顔を暗い曇天に向けたまま、数分間呼吸するのをうっかり忘れていた僕は酸欠で卒倒した。
ああ人間は皮膚呼吸が出来ない生き物なのだと、どうでも良い事を思いながらブラックアウト。

目が覚めると、知らない場所だった。
目が覚めると、綺麗なお姉さんに膝枕をしてもらっていた。
目が覚めると、今までの事は全て悪い夢だった。
...なんていうことを期待してしまうのは、人間の良心を信じ過ぎているのか、単にテレビや映画や小説の影響なのか。
実際に目を覚ましてみると最初に目に入ったのは夜空で、そこは卒倒する前と同じ場所だった。
日は完全に落ちて、雨は上がっていた。
かなり気温が下がっていたので、体が冷えきっている...かと思いきや何故か腹の辺りが暖かい。
ん、と顔だけ起こして見てみると、猫が一匹腹の上に鎮座していた。
ふむ、下痢の心配はなさそうだ。
猫と目が合った。
「こんなところで眠ったりなんかしたら、風邪引きますぜ」
猫は喋った。
「ああ、有難う」
反射でお礼を言った。
お礼を言われた猫の方が吃驚していた。
「私の言葉が解るんですか」
それを言われて、ようやくこっちも釣られて吃驚した。
「ああ、...あ?うん、解る、あれ?君も僕の言っている事が解るのか」
「ええ、解ります」
僕は地面に転がったまま、猫は腹の上に乗ったまま、互いにぽかんと見つめ合ってから同時に口を動かした。
「変わった猫だな」
「変わった旦那だ」
僕はおかしくてたまらなくなって大笑いした。
ふふふ、あはははは、と笑う度に腹の上の猫が揺れて
「やめてくだせえ、転がり落ちてしまいます」
なんて言うものだから頑張って堪えようとするのだけど、腹の上で僕の笑いと連動して揺れる猫を見ると、余計に止まらなくなってしまった。
「ごめん、...ご、ごめん...有難う...ぶっ...ごめん」
猫は何とか転がり落ちる事を回避して地面に立った。
「急に笑い出したり謝ったり礼を言ったり、本当に変な旦那だ」
僕も何とか笑いを引っ込めてようやく体を起こした。
「君だって本当に変な猫だ」
そう言ったら猫は心外そうな顔を向けたので、また笑いがこみ上げる。
「道ばたに転がっている人間の腹を暖めてやるなんて」
ふふふ、と肩を揺らしてしまう。
「有難う、暖かかった」
すると猫は顔をあっちへ向けて
「いいえ旦那、私も寒かったので暖を取らせてもらってたんですよ」
何だか腹だけじゃなくて全身暖かくなって来た。
笑ったからかな。
笑ったのは久しぶりだ。
僕は立ち上がった。
猫は僕を見上げた。
「寒いんなら、家へ一緒に帰ろう」
地面はもう殆ど乾いていて、自分の倒れていた場所だけが黒いシミになっていた。
体の背中側は湿っていたけれど、家へ帰って風呂に入って着替えたら良い。
猫も拭いてやろう。
互いにさっぱりしたら、何か食べよう。
それから一緒に寝よう。
きっと暖かい。


NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

アラスカ

Author:アラスカ

最近の記事

月別アーカイブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。