2009-09

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ジャックの世界

ジャックにとっての世界は
その時ジャックの目に映ったものだけが全てだったので
3日前の出来事なんてジャックにとっては既にフィクションでしかなく
遺跡で出会った考古学者が言った
「ああ!なんて素晴らしいんだ!私は今、この手で歴史に触れているのだ!」
その言葉が理解出来ない

朝が来たら起きて寝床を片付け顔を拭いて何かを食べてまた歩いて夜が来たら休む

そんなジャックの生き方を見て、
ある街で出会った人が否定でも肯定でもなく言った
「まるで虫みたいだね」
その言葉が、しっくりと来るのをジャックは感じたのでした

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マニュアル ランニン


走り抜ける時に錆ついたシャッターがガシャガシャ鳴った。
僕は特に忙しい訳でも急いでいる訳でもない。
単に速く走りたかっただけだ。
夢の中で、たまに全力疾走をする。
息は切れず、ただ前へ低く体全て筋肉全てをリンクさせて躍動する。
前へ前へ低く低く蹴って蹴って、それだけでぐんぐんスピードは上がって行く。
足の裏からじわじわと沈み込んで行く様な高揚感。
それを、実践したかったのだ。

夢とは違い全身に重力を感じる。
地面に足が吸い付く様なあの感覚では無く、全身が下へ向かってめり込む様な抵抗感。
重い。腕も股も速く上げるのにこんなに力が要るのか。
前へ前へ下へ下へ、向けようとすると足が追いつかなくてバランスを崩しそうになる。
その内転ぶのを避けることに集中し始めた。
バランスを崩す直前、足を前へやって支える。
息を吐き出しきれないまま空気を取り込もうとするから肺が痛む。
前へ、支えて、前へ。
その単純な繰り返しを続けると、やがて後ろ足を意識し始める。
その足で、地面を思い切り蹴ってさらに前へ。
再びつんのめって転びそうになる、その直前に足を前へやって支えて、そして再び思い切り蹴る。
“閉店しました。連絡先:06-639Z-   ”
シャッターに貼付けられていた今にも剥がれそうな変色した紙が捲り上がる音。
錆びたシャッターが鳴る。
狭い廃れた商店街を走る。
足を前へ、体を倒し、さらに前へ。
地面と足だけを見ていた。
温度が下がったのを感じて前を見ると、商店街を抜けていた。
夜の湿った空気が汗で濡れた全身を急激に冷やしていく。
10m置きに灯る街灯。
シャッターの音はもうしない。
自分の呼吸の音だけしか聴こえなくなった。
肺が痛い。
夢の中なら、肺が痛むことも呼吸音で耳を塞がれることもない。
でも悪くはない。
足に感じる倦怠感も、酸欠で痛む肺も頭も、冷たく湿った空気も。
悪くはないな。


スピードをあげることのみを意識し続けたものだから、いざ止まろうとするとままならなくなっていた。
どうやってとまるんだっけか、と妙に冷静になった頭で考える。
そうして勝手に動きまくる足を意識の外へやった瞬間、
僕は思いっきり転んだ。

痛いけどまあ、悪くはない。




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