2011-07

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彼岸まで


今の今まで居たあそこが、ああ夢だったのだと気付く。
あんなに必死になっていたのが馬鹿馬鹿しい。
6時。
「おはよう、今日はここで過ごすのかい?」
この声はさっき夢で聞いたもの。


電車の中。
学生が長い休みに入ったからだろうか、ガランとした車内。
それにしても、少なすぎやしないか。
8時。
「まだ君は繰り返すのかね」
放っておけ、と無視をする。
違和感もそのままに。


ガンガンと頭に響く位の大音響で鳴く蝉から少しでも距離を置こうと頭を逆方向へ傾ける。
体ごと移動させるのはまずい。日陰から出てしまう。
濃い影と照り返しで白くすら見えるコンクリの道とのコントラストに目がやられる。
もうずっと足元しか見ていない。
14時。
「一体どこへいくのかね」
目に映る光景に少しもそぐわない涼しげなゆったりとした声音。
無性に苛立つ。


日が暮れてしばらくたったけれど、この時期のこの時間はまだ建物のシルエットが空に映える程度に明るい。
あんなに避けていた光を追うように、西へと急ぐ。
まだ暗くなってはいけない。
確かめなくては。
20時。
「あの建物のようなものは、建物じゃあないんだよ」
見え透いた嘘を。


「なら確かめてみれば良いだろう」
「だから急いでいるんだ」
「君の手で潰せるくらい脆いよ」
「黙れ」
「それに、」
ふと、声の主を見やる。
「そんなに急いで行く程、遠くには無いよ」
風が吹いた。
景色が揺れた。
目的だったあの大きなシルエットは、すぐそこでガサガサと音を立てて揺れた。
薄っぺらな、紙細工。

「おもしろいねえ、君は。どこまでこれを繰り返すんだい。全てをこじつけているのは君なのに」
無意味だ、と吐き捨てるように言われた。
うるさい。
「そろそろいい加減にしたらどうかね、いくら私でもちょっと飽きてきた」
ここに君の欲しいものはないよ。
「じゃあどこに行けばあるんだ。どこまで行けば帰れるんだ」
「君の場合、どこまで行ったって無理だ」
かっとなって、何か怒鳴ろうとするけれど何も言葉が出てこない。

「だって君、帰りたくなんかないくせに」







ああ、夢か。
不安を引きずったまま起き上がる。
「行かないと」




「やれやれ、どこへ行くんだい?」




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