2017-08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ストロベリーフィールド

空気を振動させる。
歌っているつもりが、実はがなっているだけなんじゃないだろうかとたまに思う。
音が一つずつほぐれて宴の終幕を告げる。
空間は声援で溢れ返る。
胸がきゅっと締め付けられる様な心地がして私は少し泣きたくなった。

帰り道、黒い猫が少し先を駆け抜けた。
電信柱の影からチカリと二つの目がこちらを伺っている。
つかの間、視線を合わせては見たがすぐに逸らした。
もう見てはいないのに意識だけは黒猫の方へ向かう。
足は電信柱をそのまま通り過ぎようとしていた。
瞬間、気配が変わったような気がして、視線をそちらへ向けてしまった。
真っ黒な男がそこに立っていた。
街灯に照らされた、髪も目も服も真っ黒な男。
吃驚しても良いはずなのに、鼓動は全く乱れなかった。
どうしてだろうと、この状況下にも関わらずそんな疑問が浮かんでしまった。
男は一歩こちらへ近寄った。
距離が縮んで、私は男を見上げる。
目が合った途端に鼓動が変調する。
これは、「歓喜」かしら?
私は多分ずっと待っていた。
この時まで延々と、叫びを歌声に代えて。
そう思った瞬間、男は困った様な顔をしてこう言った。
「私はお前に選択を委ねる」
その選択というものをまだ聞いても居ないのに、間を置く事なく何故だかこう答えていた。
「一緒に連れて行って」

もう二度と迷子にしないでちょうだい。

相変わらず理由もわからないまま、そう思った。


とんとんとん «  | BLOG TOP |  » 黄昏

プロフィール

アラスカ

Author:アラスカ

最近の記事

月別アーカイブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。