2017-06

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drop

ぽつり、ぽつりと、こぼすみたいに話す声が気になった。
邪魔そうにしながらも決してかき上げようとしない前髪が気になった。
抱えた膝の小ささが気になった。

手を繋いでみたら、汗ばんでいた。
こんなに寒いのに。

高いところへのぼったって自由が減るだけだよ、と言った。
悲しむ僕にぽつりと。
君にそんなことを言われたくないと言ったら黙り込んだ。
翻るコートの裾から覗くジーンズのお尻が寒そうだった。
繋いだ手と手は温かくならなかった。


乾いた音をたてるススキの野の中を、見晴らしのいいところまで行って手を離した。
草の間に座り込んだ肩が寒そうだった。
そらすように遠くに目を向けた。

悲しいことを掻き集めては嘆く僕を、
ただ見つめるその目が怖かった。
そらすかわりに抱き寄せた。
ばかね、と君が言う。
ぽつり、とこぼすみたいに。
吐く息が白くならないのは、きっとこの身を切る風よりも冷えてしまったからだろう。


暖められなかったからだろうか、
あの子はもう居ない。
だから僕は世界中の悲しみと冷たい膝を抱えて
眠ることにした。



ずっと底へ沈んで居ようか。
君が落ちてきても、受け止められるだろう。
そしたらきっとあの声でまた、ぽつりと言うのだろう
ばかね、って。

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